頸椎捻挫(むちうち)に関する情報

頸椎捻挫(むちうち)とは

 交通事故にあった際に負うケガとして多いものに,いわゆる「むちうち」といわれるケガ

があります。

 一般的に交通事故による衝撃で,首がむちのようにしなる動きをすることによって,首の部分の筋肉、靭帯、椎間板、血管、神経などに損傷が起こることで生じます。

 なお,「むちうち」という言葉は,医学的な用語でなく,病院で頸椎捻挫,頸部挫傷,外傷性頸部症候群などと診断されるレントゲンなどで外傷性の異常を確認できない頸部に負った傷害の総称として使用されています。

頸椎捻挫(むちうち)の傷害慰謝料の相場について

 交通事故にあいケガを負うと,そのケガの内容や治療にかかった期間などに見合った傷害慰謝料が損害として賠償されます。

 傷害慰謝料は,交通事故により被害者は被った肉体邸・精神的苦痛を損害として金銭に換算して,賠償するものであることから,それぐらいの金額であれば適切といえるのかが問題となり得ます。

 本来的には,個別の交通事故被害者の具体的事情を踏まえて,いちから適切な障害慰謝料額を判断することが損害の回復として望まれますが,全く目安となる基準がない状態で自由に判断するとなると,裁判所などでの傷害慰謝料額の判断についても判断する裁判官によって,同じようなケガ負い,同じような治療を受けているにもかかわらず,大きな金額の差が生まれてしまうおそれがあります。

 そのため,実務上では,傷害慰謝料の適切な金額を考えるにあたっては,被害者間の公平を図るため,「赤い本」「青い本」と呼ばれている本に載っている算定基準をもとに傷害慰謝料の目安金額を出し,そこから個別具体的な事情を考慮して相当な障害慰謝料が検討されています。

 他覚的な所見がない頸椎捻挫(むちうち)の場合は,「赤い本」の別表Ⅱ,「青い本」の下限の基準を用いて傷害慰謝料の目安金額を検討することが多いです。

 例えば,頸椎捻挫(むちうち)で3か月間通院した場合の傷害慰謝料の目安は,以下のようになりますかのようになります。

1 青い本 46万円

2 赤い本 53万円

頸椎捻挫(むちうち)と後遺障害

 交通事故により,頚椎を負傷し,頸部痛が残っていまったとき,その頚部痛について後遺障害を獲得することは可能なのかご不安に思われている方も多いかと思います。

 

 頸椎捻挫(むちうち)による頚部痛で認定される可能性がある後遺障害等級には,14級9号と12級13号がありますが,むちうち(頸椎捻挫)で認定される後遺障害は,14級9号がほとんどであり,12級13号と認定されることは極めてまれです。

 12級13号と14級9号を分けるポイントは,レントゲンやMRI画像で異常所見が認められるか否かによるところ,むちうち(頸椎捻挫)による頚部痛で画像上明らかな異常所見が認められることは極めてまれなためです。

 

 では,後遺障害14級9号は,どのような場合に認定されるのでしょうか。

 14級9号で問題とな後遺障害は,レントゲンやMRI画像に明らかな異常所見が認められない場合であるため,被害者の方の訴え(愁訴)の信用性が判断されることとなります。

 そのため,事故態様,通院期間,通院頻度,疼痛の一貫性,神経学的所見,年齢,処方内容 等の諸般の事情を総合考慮して「局部に神経症状を残すもの」と言えるか否かで後遺障害該当性が判断されることとなります。

 

 12級13号は,前述の諸般の事情に加えて,レントゲンやMRI画像に明らかな異常所見が認められることを前提とします。また,仮に,画像上明らかな異常所見が認められたとしても,当該異常所見が事故により生じたものであることも必要となるため,神経学的検査の結果などから,実際に生じている症状の個所等が医学的にみて整合しているかをみて判断されます。

 

 以上のように交通事故によるむちうちで後遺障害を適切に獲得するためには,通院期間中も含めて交通事故を得意としている弁護士によるフォローが不可欠です。

 交通事故被害にお悩みの方は,弁護士法人心までぜひ一度ご相談ください

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